受注管理や顧客管理をExcelで続けていると、転記、確認、集計の作業が増え、システム化を考えることがあります。最初に整理したいのは、現在の業務のどこで負担が生まれているかです。
同じ内容を複数の表へ入力しているのか、確認を待つ時間が長いのか、担当者にしか分からないルールがあるのかで、改善の方法は変わります。
この記事では、Excelやスプレッドシートでの管理を見直したい業務責任者に向けて、現状整理、選択肢の比較、移行前の準備を説明します。
作業の流れと情報の所在を確認する
まず、情報を受け取ってから業務が完了するまでの流れを書き出します。使用しているファイルだけでなく、メール、紙の書類、チャットなども含めて確認しましょう。
例えば、架空の受注業務として、メールで届いた注文を受注表へ入力し、出荷用の表に転記して、月末に請求用の一覧を作っている状況を考えます。この場合は、どの情報を繰り返し入力し、どの表を最新の情報として扱っているかが確認点になります。
| 確認すること | 受注業務の例 |
|---|---|
| 入り口 | メール、電話、注文フォームのどこから依頼が来るか |
| 入力と転記 | 誰が、何の情報を、どの表に入力するか |
| 確認と承認 | 誰の確認が必要で、どこで作業を待つか |
| 完了の条件 | 出荷、請求、入金確認など、どこまでを管理するか |
| 例外 | 注文変更、分納、キャンセルをどう扱うか |
この整理には、普段その作業をしている人に参加してもらいます。管理者が把握している手順と、現場で補っている作業を両方確認することで、必要な対応を具体化できます。
困っていることを件数や時間で記録する
「入力が大変」「ミスが多い」という状態は、どの作業で、どの程度起きているかを記録すると、改善の優先順位を考えやすくなります。
例えば、転記の件数、1件当たりの作業時間、入力後の確認時間、修正が発生した回数を確認します。通常の月と繁忙期で負担が違う場合は、期間を分けて記録します。
作業時間を概算する場合は、「1件当たりの作業時間 × 対象件数」で、その作業にかかる時間を整理できます。ただし、その全量が導入後に削減されるとは限りません。新しい仕組みで残る確認作業や、例外対応も含めて比較します。
記録した内容をもとに、どの作業を優先して変えるかを判断します。停止すると困る業務や、誤りが起きたときの影響も、時間とは別に書いておきましょう。
現在の運用を改善できるか確認する
作業の負担は、入力項目の統一、元データの置き場所、担当範囲の整理などで見直せる場合があります。似た表を部署ごとに作っているなら、同じ情報を別々に持つ理由も確認します。
また、Excelには、対応する環境で同じブックを共同編集する機能があります。Microsoftの公式資料で、利用するバージョン、保存先、ファイル形式などの条件を確認できます。
「複数人で使う」という理由だけで移行を決める前に、現在の契約や環境で対応できる範囲を確認しましょう。一方、担当者ごとに見せる情報を細かく変えたい、変更や承認の記録を業務に合わせて残したい、といった要望は、具体的な条件を示して比較する必要があります。
既存サービスと個別開発を比較する
改善方法は、現在の運用の見直し、既存の業務サービスの導入、業務に合わせたシステムの開発などから検討できます。
| 選択肢 | 検討しやすい状況 | 導入前に確認すること |
|---|---|---|
| Excelなどの運用を見直す | 必要な変更が入力や集計のルールの整理で対応できる | 担当者が維持できるか、共有と確認の方法が定まるか |
| 既存の業務サービスを使う | 必要な業務が提供機能と合い、運用も合わせられる | 権限、承認、連携、データ移行、料金、データの取り出し方 |
| 個別にシステムを開発する | 固有の業務や複数の連携があり、既存サービスでは対応が難しい | 開発範囲、費用、導入後の保守、業務変更への対応 |
比較では、実際のデータに近い例と、通常の処理・例外の処理を使って確認します。機能名が同じでも、自社の手順で使えるかどうかを試すことが必要です。
AIによる処理を検討する場合も、対象作業を具体化します。例えば注文メールから項目を読み取る用途なら、読み取った内容を誰が確認し、誤りをどう修正するかを決めます。注文番号や金額の照合など、ルールが明確な処理は、通常のプログラムによる自動化も比較対象になります。
移行するデータと切り替え方を決める
新しい仕組みを導入する場合は、どのデータを移すかを決めます。顧客名の表記揺れ、重複した行、使っていない項目、過去の注文と顧客の対応などを確認しましょう。
過去データをすべて同じ方法で移す必要があるかも検討します。進行中の注文を新しい仕組みに移し、完了した注文は参照用に保管するなど、業務上の必要性に応じて分けられます。
切り替え前には、テストする期間、操作を覚える担当者、旧ファイルの更新を止める時点、問題が起きた場合の対応を決めます。一部の業務や部署から導入する場合も、旧環境と新環境のどちらを最新として扱うかを明確にしましょう。
相談前に使える業務整理メモ
| 項目 | 書いておきたいこと |
|---|---|
| 対象の業務 | 誰が、どの情報を受け取り、何をして完了するか |
| 現在の負担 | 転記、確認待ち、修正、集計など、負担が生じる作業 |
| 件数と影響 | 通常時と繁忙期の件数、作業時間、誤りや停止の影響 |
| 現在の資料 | 使用中の表、入力項目、計算、承認と例外処理のルール |
| 選択肢 | 現在の運用改善、既存サービス、個別開発で比較したいこと |
| 導入と運用 | 移行データ、導入時期、利用者、公開後の管理と保守の担当 |
業務の整理からシステム化を相談する
wachaの業務システム/BtoB開発では、現状の業務整理から、業務に合わせたシステム開発、既存データの移行、導入後の改善まで支援しています。
Excelから移すべきか迷っている場合も、現在の管理表と、特に負担になっている作業をもとに検討できます。業務システムについてのご相談で、現状をお聞かせください。
参考資料
確認日:2026年10月28日
