新商品やイベントの発表が続かないとき、顧客や市場について調べた結果を発信する方法があります。この記事では、独自の調査結果を、プレスリリースやWeb記事で届ける取り組みを「調査PR」と呼びます。
企画では、誰に何を知ってもらいたいかを決め、その読者に関係する問いを調査できる形にします。集計した数字を示すだけでなく、誰を対象に、どのように調べた結果かを伝えることも必要です。
この記事では、発信テーマを探している広報・マーケティング担当者に向けて、テーマの選び方、調査設計、結果の公開、効果の確認までを説明します。
読者の関心と自社の事業が重なる問いを探す
調査テーマは、伝えたい相手と、その人が知りたいことから考えます。自社がそのテーマを扱う理由も説明できると、事業との関係を伝えやすくなります。
例えば、架空の企画として、収納用品を扱う企業が、在宅勤務で使う仕事道具の置き場所について調べる場面を考えます。
| 企画の項目 | この例での考え方 |
|---|---|
| 届けたい相手 | 自宅で仕事をする人や、住まい・働き方を扱う媒体 |
| 読者の疑問 | 仕事道具をどこに置き、何に困っているのか |
| 自社との関係 | 収納用品を扱う立場から、生活の中の収納課題を調べる |
| 調べること | 使用場所、片づける場所、困りごとの内容、現在の対処方法 |
「収納用品を買うべきだ」という結論を先に置くと、都合のよい回答を集める設問になりかねません。困りごとがない人や、現在の方法で対応できている人の回答も受け取れるテーマにします。
テーマを具体的な調査設計にする
問いが決まったら、対象者、募集方法、期間、設問、集計方法を決めます。「在宅勤務をする人」という対象も、どの期間に、どの程度の経験がある人かを定義しましょう。
例えば、この架空の企画では「直近1か月に、週1日以上自宅で仕事をした成人」を対象条件の案にできます。その条件の中で、仕事道具を出したままにしている人と、毎回片づける人の違いを調べる、といった切り口を考えられます。
設問は、一つの質問で一つのことを聞き、期間と行動を具体化します。「仕事道具の収納に不便や不満がありますか」では、不便さと不満を同時に評価することになります。置き場所、移動の手間、片づけの頻度など、知りたいことを分けて確認します。
回答を集める前に、どの層を比較するかも決めておきます。比較する層の回答者が少ない場合は、その差を大きく取り上げる前に人数と条件を確認します。
結果から言える範囲で見出しを作る
集計後は、回答から直接分かることと、自社の考察を分けます。
例えば「仕事道具を片づける場所がない」という回答が得られた場合、分かるのは、設問に対してその選択肢を選んだ人の人数や割合です。それだけで、収納用品を購入する人が多いとまでは判断できません。
見出しにも、誰の回答かが伝わる表現を使います。調査対象が在宅勤務の経験者であれば、「日本人の働き方」と範囲を広げるより、在宅勤務の経験者を対象とした調査であることを示します。
図表では、対象人数、設問、単一回答か複数回答かを明記します。割合の分母が異なる図を比較する場合や、無回答を除いて計算した場合も、その条件を添えましょう。
調査概要と設問を参照できる形で公開する
結果を利用する読者が内容を確認できるように、調査の方法も公開します。AAPORの倫理規範と開示基準でも、調査主体、対象集団、募集方法、設問などの情報を開示することを扱っています。
次の表は、インターネット調査を公開する際の確認項目です。実際の調査で行った方法に合わせて記載します。
| 項目 | 記載する内容 |
|---|---|
| 調査の主体 | 企画・費用負担をした組織と、調査を実施した組織 |
| 対象と募集 | 年齢・居住地・経験などの対象条件、回答者を集めた方法、利用したモニターなど |
| 期間と方法 | 調査した日付、回答方法 |
| 回答数と集計 | 有効回答数、集計対象、除外条件、重み付けの有無と方法 |
| 設問 | 結果に対応する質問文、選択肢、必要な事前説明 |
| 図表の条件 | 各図の対象人数、分母、回答形式、端数処理 |
この表だけであらゆる調査の開示項目を網羅するものではありません。調査方法に応じて、読者の解釈に必要な情報を補います。
Web記事には、主要な結果、図表、調査概要、設問、問い合わせ先をまとめます。プレスリリースでは注目点を簡潔に伝え、詳しい条件や結果を確認できる元の記事へ案内すると、情報をたどりやすくなります。
AI検索に向けても内容を確認できる形にする
調査結果をWebで公開する際は、重要な数字や条件を本文にも書き、図の画像だけに情報が閉じないようにします。誰が調べた何の結果なのか、出典と調査概要を近くに示しましょう。
Googleの生成AI検索に関する公式ガイドでは、Google検索のAI機能でも基本的なSEOの考え方が有効であり、独自性のある有用な内容や明確な構造を重視することを案内しています。
ただし、調査結果を掲載したことだけで、AI検索での引用やメディア掲載が決まるわけではありません。Googleの説明を、すべてのAIサービスに共通する表示条件として扱うことも避けましょう。まずは読者が方法と結果を確認できる公開ページを用意します。
発信後の反応を目的に合わせて確認する
調査PRでは、元の記事の閲覧、メディアでの紹介、サービスページへの遷移、問い合わせなどを分けて確認します。認知を広げることが目的なのか、営業の説明資料として使うのかによって、重視する行動は変わります。
紹介された記事を確認する際は、調査の対象や数字が正しく伝わっているかも見ます。誤りが分かった場合に連絡・訂正できるよう、元の記事の更新窓口を決めておきます。
AI検索での表示を観測する場合は、質問文、利用したサービス、確認日を記録します。一度表示されたことを継続的な成果として扱わず、記事への訪問や事業上の行動とも分けて把握します。
企画から公開までに使えるメモ
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 発信の目的 | 誰に何を知ってもらい、その後どの行動につなげたいか |
| 調査の問い | 読者の関心と自社の事業がどこで関係するか |
| 対象と方法 | 誰を、どの条件で集め、何を聞くか |
| 結果の確認 | どの層を比較し、回答からどこまで説明するか |
| 公開する情報 | 調査概要、設問、図表、元の記事、問い合わせ先 |
| 発信と計測 | 配信先、紹介方法、確認する閲覧・遷移・相談 |
調査の企画から発信まで相談する
wachaのリサーチプレスでは、調査テーマと設問の設計、データの収集、レポート作成、プレスリリースとWeb記事での発信を支援しています。
調査でどのような問いを扱うか迷っている方は、届けたい相手と、事業に関係するテーマを添えてご相談ください。
参考資料
確認日:2026年10月28日
