新しいサービスを企画していると、「このアイデアを使いたい人はいるのか」を確かめたくなります。アンケートを行うときは、利用意向に加えて、現在の困りごとと対処方法も聞くことで、次に検証する相手や内容を考えられます。
ただし、「使いたい」という回答が、そのまま購入や継続利用を意味するわけではありません。回答を事業判断に使うには、誰に、どの条件を示して、何を聞いたかをそろえることが必要です。
この記事では、サービスの開発前に需要を調べたい企画担当者に向けて、調査目的、対象者、設問、結果の読み方を説明します。
調査後に決めたいことを先に書く
最初に、調査をした後で何を判断するかを決めます。例えば、想定している困りごとがあるか、どの層に詳しく話を聞くか、どの機能を試すか、といった判断です。
ここでは、架空の企画として「食材や調理時間の希望を入力すると、夕食の献立候補を表示するサービス」を考えます。調査の目的を「献立を考える負担がある人の状況を把握し、次の聞き取りの対象を決めること」とします。
この目的なら、献立を考える頻度、困っていること、現在の対処方法、サービスへの反応を順に確認できます。調査を始める前に、どのような結果なら追加の聞き取りに進み、どのような結果なら企画を見直すかも話し合っておきましょう。
困りごとを経験している人を対象にする
対象者は、年齢や性別だけでなく、調べたい行動や経験をもとに定義します。この例では、日本国内に住む成人のうち、直近1か月に自宅で食べる夕食の献立を自分で考えた人を対象とします。
サービスを使いたいと答えた人だけを集めると、検討段階で必要な否定的な反応を拾いにくくなります。対象となる経験の有無を確認し、その中にどのような困りごとや意向の違いがあるかを見ます。
回答を集める方法も記録します。自社の顧客、SNSのフォロワー、調査モニターでは、集まる人の条件が異なります。AAPORの調査実務の解説も、対象集団に合った標本設計や、抽出方法を踏まえた解釈を扱っています。
回答者の募集方法によっては、結果をそのまま全国の生活者全体へ一般化できません。回答数とあわせて、対象者の条件と集め方を確認しましょう。
現在の行動からサービスの評価へ進める
設問は、対象となる経験、現在の行動、困りごと、現在の対処、サービスへの反応という順番で考えられます。
先にサービスの魅力を説明すると、その説明が困りごとへの回答に影響する可能性があります。現在の状況を聞く部分と、企画を見せて反応を聞く部分を分けましょう。
以下は、架空の企画に対する設問例です。調査を実施した結果ではありません。実際に使う際は、対象者の募集条件や回答画面に合わせて調整します。
| 順番 | 設問例 | 回答方法 |
|---|---|---|
| 1 | 直近1か月に、自宅で食べる夕食の献立を自分で考えましたか | はい/いいえ/覚えていない。はいの人を以降の対象にする |
| 2 | 直近7日間に、夕食の献立を考えた日は何日ありましたか | 0日から7日の単一選択/覚えていない |
| 3 | 直近1か月に、夕食の献立を考える際に最も困ったことは何ですか | 食べたい料理が思い浮かばない/手元の食材から料理を決めにくい/調理時間に合う料理を探しにくい/一緒に食べる人の好みに合わせにくい/その他/特に困らなかった/覚えていない |
| 4 | 直近1か月に、献立を考えるために使った方法をすべて選んでください | レシピのWebサイトやアプリ/SNS/本や雑誌/家族などへの相談/その他/いずれも使っていない/覚えていない |
| 5 | 次のサービスを月額500円で利用できる場合、どの程度利用したいと思いますか | 利用したい/どちらかといえば利用したい/どちらともいえない/どちらかといえば利用したくない/利用したくない/説明だけでは判断できない |
| 6 | 前の設問でその回答を選んだ理由を教えてください | 任意の自由記述 |
設問5の前には、「食材や調理時間の希望を入力すると、夕食の献立候補を表示するサービスです」と説明します。月額500円は、この設問例のために置いた仮の価格です。実際のサービスやワンアスクの料金ではありません。
設問4の「いずれも使っていない」「覚えていない」は、他の選択肢と同時に選べないようにします。年齢や居住地を募集時に確認していない場合は、対象者の条件を確認する設問も追加します。
一つの設問で一つのことを聞く
設問を見直すときは、回答する人が同じ意味で理解できるかを確認します。
例えば、「安くて便利なサービスを使いたいですか」という質問では、安さと便利さのどちらを評価しているかが分かりません。また、「頻繁に困りますか」では、頻繁という言葉の解釈が人によって変わります。何について、いつの経験を答えるのかを具体化しましょう。
Pew Research Centerの設問作成の解説でも、一度に複数の概念を問わないこと、選択肢の重複や不足を避けること、質問の順序を検討することを説明しています。
配信前には、対象者に近い人に回答してもらい、意味が伝わらない表現、答えに当てはまる選択肢がない箇所、回答の分岐を確認します。
利用意向と実際の行動を分けて判断する
集計では、全体の利用意向に加えて、困りごとや現在の対処方法による違いを確認します。例えば、すでにレシピサービスを使っている人がどこに不満を感じているかを調べると、追加の聞き取りで確かめたい内容を絞れます。
割合を示す際は、対象となる回答者の人数も併記します。少人数の層の結果は、回答者が数人変わるだけで割合も大きく変わるため、人数を確認して解釈します。複数回答の設問は、選択肢の割合を合計しても100%になるとは限りません。
また、設問5で分かるのは、示した説明と価格に対する利用意向です。実際に申し込むか、使い続けるかを確認するには、試作品の利用や、条件を明示した募集など、次の検証を組み合わせます。
調査前に使える設計メモ
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 判断したいこと | 調査後に何を決めるか。次に確かめることは何か |
| 対象者 | どの行動や経験を持つ人に聞くか。対象外の人をどう分けるか |
| 募集と回答数 | どの方法で集め、何人の回答を得るか。比較する層ごとの人数を確保できるか |
| 設問 | 現在の行動と、企画への評価をどう聞き分けるか |
| 提示条件 | サービスの説明、価格、利用条件をどう示すか |
| 結果の扱い | 誰の回答として説明するか。利用意向の次に何を検証するか |
回答者を集めて需要調査を進める
wachaが運営するワンアスクは、アンケートを作成し、回答モニターに配信できるサービスです。新商品・サービスのニーズやコンセプトを調べる用途にも使えます。
調査を始める際は、対象者の条件と、調査後に判断したいことを整理しておきましょう。利用方法は、ワンアスクの紹介ページでご案内しています。
参考資料
確認日:2026年10月28日
